シュナウザーの原産国であり、ペット先進国と呼ばれるドイツのウソとホント

シュナウザーの原産国であり、ペット先進国と呼ばれるドイツのウソとホント

今日のブログ…ちょっと文章多めです(笑)

ご興味頂ける方が多ければ講師の先生をお招きして講演会を企画したいと思っておりますのでよろしくお願い致します!なマーブルとイヴです。こんにちわん!

 

 

昨日は京王プラザホテルで開催された東京都獣医師会様の会合に参加😎

実は一番のお目当てはこちらで開催された『ドイツ&オランダ動物保護施設視察ツアー』の報告会。

 

ドイツといえばペット先進国と言われることが多く、「殺処分はしていない」「ペットショップでの生体販売は法律で禁止されている」「愛犬がケージやカートに入らず電車やバスに乗れる」「犬と暮らすのに税金がある」etc…という日本とは違うペット事情で生活しているという”噂”を耳にしている方もいらっしゃると思います。

しかし、人づてに聞く話はバイアスが掛かったり、また敢えて歪曲した情報を流布することによりいつしか真実とはかけ離れた情報になっていることも多々な今日。本当のところはどうなの?を確かめるべく計画された視察ツアーの全容をご参加になられた議員や事業者、有識者のみなさまのレポートを楽しめる(?)スゴイ会!なのです。

 

というわけで、前述した”噂”については…

 

「殺処分はしていない」

→殺処分することもある。

ティアハイム(保護施設)に収容された保護動物でも問題行動が多発する場合には審議を重ねた上で殺処分(安楽死)が行われることもあるそうです。ただ、期間も内容も含めてかなり慎重に審議されるらしく、殺処分を行ったことにより施設に対して大規模なデモ活動が展開されることもあったそうです。

ドイツの動物保護法にも、

第1条(原則)

この法律は、同じ被造物(生物)としての動物に対する人の責任に基づき、動物の生命及び健康を保護することを目的とする。

何人も、合理的な理由なしに、動物に対して痛み、苦痛または傷害を与えてはならない。

とあります。

合理的な理由…例えば重篤なアトピーの動物に対して、治療により苦痛を与えてしまうと判断された場合には安楽死を施すこともあるそうな。

 

 

「ペットショップでの生体販売は法律で禁止されている」

→法律で禁止されていないし、生体販売しているペットショップはあります。

デュイスブルクにある12000㎡の敷地面積(東京ドームのグラウンド面積が13000㎡)を誇る世界最大級のペットショップ『Zoo Zajac』。https://www.zajac.de/

こちらで生体販売されています。ただ、ハードルがすごいんです。

生体販売するためには犬は6㎡、猫は4㎡の展示スペースが必要と定められていて事業としてはコスパ悪し…。

そして、ドイツ国内での慣例として生体はブリーダーから、またはティアハイムから譲り受けるという文化が浸透しているため、業界として生体販売はタブーとなっているとのこと。(店舗オープンの際にはデモが起きたとか…)

 

で、こちらのペットショップの内実はどうなっているのかと言いますと、前述の規定以上の広さの展示スペースを用意して、他の個体や店舗スタッフとの交流を通じて社会化を図り、また販売に際しても、

  1. 飼育経験のある人には1時間程度、無い人には4~5時間程度のカウンセリング
  2. 家族全員での来店
  3. 飼育環境の確認できる写真の提出
  4. ベテランスタッフには販売を断る権利を付与

という条件が厳しく設定されており、購入希望者の半数は断られ、動物の福祉が守られる飼い主への販売を徹底しているそう。

そしてそれがZoo Zajacのブランディングに生かされ、飼い主さんには「Zoo Zajacの厳しい販売条件をクリアした優良な飼い主」というプレミアム感をもたらすそう。

展示販売=悪ではなく、どのように管理し販売するかが重要というお考えの下とのこと。

私が以前に遭遇した国内のペットショップで聞こえてきてしまったひどいセールストーク。

ご両親に連れられた小学校低学年ぐらいのお嬢さんが柴犬の子犬を抱っこしてニコニコ…だけどちょっと考えながら不安な顔。

かわいくて連れて帰りたい、だけどご両親から本当に面倒を見られるの?大切にする?もちろんご両親も意地悪に話しているわけではなくご自身の覚悟も含めてニコニコしながらお嬢さんに問いかけています。

一生懸命考えているお嬢さんの横から店員さんの一言。

「このコかわいいのでこのお休み中に売れてしまうかもしれませんね~~^^」

命を扱うにはあまりにも軽く責任感の無い一言。

 

今思えば、我が家のマーブルもソルト&ペッパーの血統書を持ち、迎え入れる際に店員さんに「シュナウザーってグレー×ホワイトの毛色だと思っていたのですがこのコってなんでこの色(ブラック×ホワイト)なんですか?」と聞いたところ、「シュナって色が濃いコもいるのですが一年も経たないうちにグレーになりますよ」との回答。

ブラック×ホワイトがかわいいと思って迎え入れたので全然文句は無いのですが、こんな程度の認識の店員さんが生命を取り扱っているのも事実。

決して全員というわけではありませんが、国内においても生体を取り扱う方の意識の変化を望みます。

 

 

「愛犬がケージやカートに入らず電車やバスに乗れる」

→電車やバスに乗れるどころかノーリードで連れて歩くことができる。

犬と暮らすためにしっかりと訓練・トレーニングをすることが常識。ノーリードだからと言って勝手なことができるわけではなく、飼い主と愛犬の関係性がしっかりできている歴史が長いからこそ許されている環境。

 

 

「犬と暮らすのに税金がある」

→YES!ただし…

この件、ちょっとお隣の方に話しかけられてしまってしっかり聞いていなかった(笑)のですが、ドイツ国内すべてではないかもしれませんがニーダーザクセン州においては年間5~60€の税金が課され、さらには飼い主検定が実施され飼育前の筆記試験飼育後1年以内の実技試験があるんだそうです。

そして、飼育後の実技試験に認められない犬はどうなるのか?

日本では不適切な飼い主の下でも、なんとか適切にするようにがんばろう!という風潮だと思いますが、ドイツではティアハイムに保護され適切な飼い主の下へ譲渡が行われるとのこと。

 

ここまでちょくちょく出てきたティアハイムという言葉。

tier=動物、heim=家というわけで、直訳すると動物の家。ドイツ国内の動物保護施設の総称をティアハイムと言います。(以前は固有名詞だと思ってました。)

事業規模は様々で常勤職員1名の施設から160名が勤務しボランティアスタッフ500名を抱え年間運営費10億円を超える施設まで、ドイツ国内に1300以上のティアハイムがあり、運営資金の一部を行政からの補助金、そして大半を寄付金で賄っているそうです。そして、継続性を保つための綿密な事業計画もしっかりと策定されているそう。

寄付と言えばひとつ面白い事例を聞きまして、ペットグッズを購入できるお店の出入り口には”ポスト”が設置されているんだそうです。このポストに入れるものは何かというとペットフードをはじめとした動物のための品物。そして、このポストに入れられた品物がどうなるのかというとティアハイムのスタッフさんが回収し、保護動物のために使われるんだそう。

ショップを訪問して自分の愛犬のために3kg袋、保護動物のために500gのドッグフードを購入し、帰りに500gの袋をポストに投函する。

ちょっとややこしく聞こえるかもしれませんが、自分の家にいるペットだけではなく、ティアハイムにいる動物も自分の家のペットに準じる思いを寄せる。社会全体での動物に対する保護文化が根付いているんだなと感じます。

 

文化と言えば、日本は「愛護」、ドイツは「保護」なんですって。

ドイツはキリスト教を基盤とする人間至上主義→動物への(かなりヘビーな)責任感、日本は仏教と自然崇拝を基盤として生きとし生けるものはみな平等の精神の下に動物愛護の精神が根付いているという持論を展開される登壇者の方もいらっしゃり、そもそもの国民性や国に根付いた文化へのアジャストが大切と思います。

 

そして、この日登壇された9名のみなさまの多くの方が共通して主張されていらっしゃったのは、動物先進国の真似をするだけではなく良い事例をベースにいかに日本式の愛護環境を整えるかが大切ということ。

一足飛びに様々な問題が解決されることは難しいと思いますが、継続性と時にはエッジの利いた仕掛けが文化づくりには大切と思っております。

以上、環境省のサイトにNPO団体による2017年の訪独レポートも公開されていますのでこちらもぜひご一読を🎶なマーブルとイヴがお届け致しました。

https://www.env.go.jp/council/14animal/ref49_3.pdf

 

約50ページのレポート読むのメンドクセーーーなあなたはマーブルとイヴにランキング応援クリックをよろしくお願い致します(‘◇’)ゞ

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